加糖コミッショナーの署名が入ったノズミ社製のスーパーボール。
UPDATE 2010/09/23
日本・東京
全日本プロ野球は来季から1軍公式戦での使用球をノズミ社製に統一する。これまでは各球団が個別にメーカーと契約し、球場ごとに「飛ぶ」「飛ばない」の議論もあった。統一球の導入は国際基準に近づけることが主な目的だが、注目されるのは高反発球(スーパーボール)に統一されたことだ。
気になる選手たちの反応は、「国際試合で選手間の体力差が少なくなる」「大リーグの使用球より10倍は飛ぶ」「送りバントのつもりだったのがホームランになった」「色々なカラーがあってカワイイ」と概ね好評だった。
9月20日に東京都内の全日本野球機構(ANPB)で開かれた統一球の発表会で、加糖幾三コミッショナーは、認定印として自分のサインが刻まれたボールを手に、「ずいぶんサインの練習をしました」と、誇らしげに新球を披露した。
ボール統一の発端は、日本各地の夏祭りで「スーパーボールすくい」に群がる子供達の姿を加藤コミッショナーが見て、「子供達の興味をサッカーから野球に引き戻すには、人気のスーパーボールを使うしかない」と思いついたという。
そこで大阪松屋町のオモチャ問屋、東大阪のスーパーボールメーカー各社と協議し、国際基準のスーパーボールを全日本プロ野球でも導入することを提案し、試作品の製作に入った。
一方各球団からは、「ボールが重すぎてピッチャーが肩を壊すに決まっている」「外野フェンスを最低100メートル後に下げる必要がある」という猛反発が巻き起こったが、今年6月に国内全12球団の合意を得ることに成功した。ボールの選定については球界伝統の談合で、最大手のノズミを選定。ただし、2軍や練習用には安価な中国製のスーパーボールや国産他メーカー製品も使えることにした。
ノズミによると、「球の中心のゴム材に新開発の高反発素材を使い、史上最高のラビットボールが完成した。さらに、バットとの激しい摩擦に耐える為、ボール表面には本家岡本ゴムの技術協力で0.02ミリの破れない薄々ゴムで包み耐用性をアップさせた」としている。実験では球速140キロ、スイング速度120キロで飛び出し角度を27度とすると、飛距離は約1200メートルで同社の従来球より約1100メートル飛距離が長くなるという。その弾道は完成した「東京スカイツリー」をも越える大迫力のものとなる。
今季も終盤戦に入り順位争いは混戦模様だが、本塁打数では今のところ、セシ・リーグが虚心、パン・リーグは金貸がトップ。来期以降ボールの違いが野球を変え、順位にも影響を与えるのか。各球団はさっそく秋季キャンプから新球を試す予定だ。
一方、肝心の子供達の反応は「ポケモンのボールだったら買う」「字がヘタすぎ」「イチローのサインボールなら欲しい」と概ね不評だった。
アメリカ野球殿堂博物館は「長い野球の歴史の中で、選手のサインではなく、大きくコミッショナーのサインが大きく入ったボールは稀。ぜひ展示してその特異ぶりを後世まで伝えたい」と語っている。
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