完全に客足が途絶えたメリダ周辺の各遺跡。この壊滅的なメリダの経済状況こそ、マヤの神々が予言した世界の終わりだったのか!?
UPDATE 2012/12/21
メキシコ・メリダ
マヤの予言はホンモノだった。確かに絶滅は起こったが、限定的だったようだ…。2009年に公開されたハリウッド映画「2012」。そのインパクトある世界が滅び行く映像と、迫真のシナリオで、全世界の人々はマヤの暦と終末予言について一斉に知ることになった。その日以来、予言の舞台となったメキシコのユカタン州の州都メリダ市は空前の人類絶滅の観光特需が巻き起こっていた。
人類絶滅遺跡ツアーに人類絶滅カレンダー。人類絶滅キャンディに人類絶滅バック。人類絶滅Tシャツに人類絶滅定食…。とにかく全ての品物に人類絶滅と記すだけで世界中から押し寄せる観光客が買ってくれるのだから笑いが止まらない。メリダ商工会議所重鎮による「成長率前年度比1000%」という映画公開後の経済効果が、むしろ控えめに感じる程だ。
しかし街の繁栄を喜んでいる間にも、確実に滅びの日は近づいていたのだ…。滅びが始まるとされた2012年12月21日〜23日以降メリダ近郊のホテルやツアーの予約はほとんどゼロ。予言を信じる人が多ければ多い程、滅びの日以降にマヤの遺跡を訪れる意味が無いと思うのも当然だろう。
ウシュマルやチチェン・イッツァ、マヤパン、チビルチャルトゥンという人気絶滅遺跡は完全に閑古鳥が鳴いている。まさに絶滅状態だ(苦笑)
「世界は火に包まれる」というマヤの予言は正しかった…。滅びは限定的に見えるが、そもそもこれはマヤ人によるマヤ人のための予言。マヤ人の末裔であるメリダの人々がの生活が「火のくるま」となって壊滅状態になることは、彼らにとって世界の終わりの到来にも等しい(笑)
現在メリダ観光協会は、「世界が滅亡するのは2012年ではなく、2015年だった」というマヤ歴のズレを指摘した新説をベースに2015年人類絶滅大観光キャンペーンを展開中。しかし2015年の人類絶滅説の主因とされる暦は、古代エジプト暦。砂漠の神々が示した「世界が水に没する」というミステリアスな予言は怪しさ満点で魅力的だ。今後観光客をエジプトに奪われることは避けられそうにない。
果たして予言通りに2015年に世界は水に沈むのか、それとも火につつまれるのか…。ともあれ、我々人類にはあと3年時間ができた。それは嬉しい限りだが、一足先に絶滅の日を迎えたマヤの人々にはお気の毒というしかない(苦笑)