左から“iPhone nano” “iPhone nano nano” “GALAXY super mini” 互いの販売差し止め請求で、無事発売に至るかは現在のところ不明だ。
UPDATE 2012/08/28
カリフォルニア・サンノゼ
アップルは、8月24日の米連邦地裁の評決を受け、27日に米連邦地裁に対し、サムスンのスマートフォン8機種を米国内で販売禁止とするように求める仮処分を申請した。一方、サムスンの上告や仮処分の執行保留申請も必至。両社の法廷闘争はますます熾烈を極めることになりそうだ。
この意匠や技術の侵害裁判が、従来の裁判と違う点は、失った利益を取り戻す為の争いでは無く、相手を市場から排除する為の裁判であるという点だ。従って両社に妥協点は無く争いは、どちらかが完全にダウンするまで終わらないと見られている。
そんな激しい争いの中、両社が威信をかけて今月中にも新製品を発表、今秋発売することになったようだ。アップルが発売するのは、その持てる技術の全てを注ぎ込んだ“iPhone nano”全長2cmのボディは0.8gと1円玉より軽い。しかし、その性能は現行最新機種iPhone4sの機能が全て盛り込まれている驚異的なものだ。約3mmのアイコンを押す為の専用の竹ツマヨウジ(京都産)というこだわりがアップルらしい。
一方“iPhone nano”の発表を知ったサムスンも、強力な対抗機種を発表する模様。“GALAXY super mini”と名付けられた新機種は、“iPhone nano”を越える全長1.5cm、重さ0.3gの超小型。約1mmのアイコンを押す為の専用のハシ(アルミ製)が付属しているが、このハシでアイコンを押す手法がサムスンの特許らしく、「アップルの“iPhone nano”は特許を侵害している」と同製品の販売差し止めを申請する予定だという。
しかし、これらの動きを見逃すアップルではない。サムスンの“GALAXY super mini”の発表予定を知るや否や、“iPhone nano nano”を開発。全長0.6mm、重さ0.1gというスーパー極小サイズ!約0.3mmのアイコンを押す為の専用のカーボンナノスティックが付属している。このスティックでアイコンを押す手法がアップルの特許らしく、「サムスンの“GALAXY super mini”は特許を侵害している」と同製品の販売差し止めを申請する予定だという。新たな裁判では、ハシがスティックの一種と見なされるか、ツマヨウジがハシの一種と見なされるかが、争点となりそうだ。
しかし、この両社の意匠と特許係争に対し市場の反応は一様に冷ややか。
「ヒューマンインターフェイスを無視した製品作りには、魅力を感じまてん」岡本たろうくん(3歳)。月野うさぎちゃん(3歳)は、「棒や指で押す事が特許ならピアノも太鼓の方が先ではないのか?そもそもタッチパネルだけでは入力方法に限界がある。とても使いにくい!新たな操作方法の開発が必要でちゅ」とスマホの本質的な問題点の改善を要求していた。
手のひらサイズのタッチパネル付き液晶画面という限られた規格のなかでは、似通った製品が出るのは仕方ないのかもしれない。かつて電話機が有線全盛だった時代、本体、受話器、プッシュボタンという必要なパーツを並べた場合、どのメーカーの製品も似通った形となったが、意匠や特許を取ろうとした企業は無い。いまや日常生活に欠かせないスマホという製品を特許や意匠で縛るという事が、どれほど世界中の消費者の不便や負担を強いることになるのか両社にはぜひ考えて頂きたい。
「アメリカでは○を三つ描いただけで自社のネズミだと主張する企業があったが、誰でも描ける単純な略画で意匠や権利を主張するのはバカげている。シンプルな表現が似通うのは当然なのに、同じ愚をまたITの世界で繰り返そうというのか?世界を代表する巨大企業同士が、世界一大人げない争いをしていまちゅ」ペーター・メンゲルベルグくん(4歳)
この巨大でムダな争いのエネルギーを、次の魅力的な新製品に向けて欲しい思うのは私だけだろうか。
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