既に中国では感染者3億人を超えるといわれている新型水虫。顔や頭に発生する、あのカユミは想像を絶する。
UPDATE 2012/07/31
日本・東京
現在日本でも国民の2割が感染しているという水虫。白癬菌を原因とするこの病気は足だけに感染するのではないということをご存知だろうか?
実は日本人にはピンと来ないかもしれないが、水虫は、足だけの病気じゃないというのが世界の常識らしい。そもそも通気性の悪い靴に、蒸れやすいナイロンの靴下が水虫の温床となりやすいのは知っての通り。下駄の時代の日本には水虫は珍しい病気だった。しかし、欧米化の波と同時に我が国も水虫デビュー。同じく通気性の良い着物にふんどしでは無縁だった股部白癬(インキンタムシ)、体部白癬(タムシ)そして頭部白癬(シラクモ)も、洋服生活と共に国内に大挙上陸した。
そして今回いよいよ噂の新型水虫と呼ばれる顔や首、頭に好んで感染するトリコフィトン・トンズランス菌がジワジワと上陸してきたわけだ。
このふざけたような名前の細菌、名前に似合わずとても面倒くさい奴らしい。トンズランスという名前自体が、代表的な症例である頭皮への感染で、髪が抜け落ちる状態が、キリスト教聖職者の頭を剃るトンスーラを思わせる事に由来するからだという。水虫で円形脱毛だらけなんて悲しすぎる…。
このトンズランス菌、元々中南米に生息していた菌といわれているが、1960年代にアメリカに持ちこまれ、米軍の派兵に伴って東南アジア、そして90年代には韓国、中国とアジアに広がり、2000年頃から日本でもレスリングや柔道選手の間で感染が見られる様になった。もっとも日本への広がりは国際試合でトンズラス菌に感染した外国人選手からうつされたものが、地道に競技者間に広がって行ったということらしい。
問題なのは、この新型水虫菌は感染力が強く、しかも10代を中心の若者に猛威を振るいやすいということだ。
既に国内でも感染者3万人と言われる新型水虫、平成17年の全国中学校柔道大会での調査では、調査に協力した参加選手の9%以上が感染していたという。この数字に危機感を持った柔道界は、以後新型水虫撲滅に務め選手の感染者事体は減少していった。しかし、今年の一般人を巻き込んだトンズランスブレイクでは感染の元凶扱いされて大混乱。火消しに必死だ。
実際柔道界に近い専門医A教授は「トンズランス感染症は、柔道、レスリングなど激しい運動をされる方の皮膚病です。一般の人たちは関係ありません。現在、一部の報道が取り上げたために、電話問い合わせが、殺到しており、病院へ迷惑を掛けてしまっています。取材にはおおじられませんので、ご理解のほどよろしくお願いします。電話もしないでください」と悲鳴をあげている。
しかし、本当に普通に生活している人々には関係ないと安心していいのだろうか?
その楽観論を吹き飛ばす強烈な事実が海外から飛び込んできている。一足先にトンズランス菌が猛威をふるっている、お隣中国からだ。
「新型水虫が一般人には関係ないなんて、とんでもない!今中国全土で強烈な勢いで一般市民に感染が広がっています。とても他人事と安心してなんかいられませんよ」中国医療事情に詳しい中国人ジャーナリスト戴世煜氏
しかし、直接的な接触でもないかぎりトンズラス菌は感染しないのでは?
「それこそ迷信では(苦笑)?例えば、広西省南寧市の李氏が、連日続くあまりの頭のかゆみに耐えかねて、医者に行ってみると、着用していたカツラから大量のトンズラス菌をウジャウジャ検出!幸い早期発見だったため、残り少ない髪まで抜け落ちることは避けられたそうですが、人前でカツラを外して頭を掻くわけにも行かず地獄の苦しみだったそうです(笑)」
それはお気の毒です(苦笑)。ただ、この場合、蒸れるカツラが頭皮の菌を増殖さやすいというか、特殊なケースといえるのでは…。
「まだ分からないんですか!中国にも、日本同様、上海以南の地方には梅雨があります。今年その時期に入って以来、上海市第二病院皮膚科の一日の診察の内、約20%が水虫関係の患者なんです。もちろん足だけでは在りません。頭、首、手の指、お尻等の感染が例年の数倍にのぼっているのです。これでも、気候を同じくする日本だけ大丈夫だと思うんですか?」
実際、中国の水虫患者は人口の3割以上約4.5億人、その内3割が新型水虫感染者といわれている。聞いただけでカユくなってくる。これほどまでの猛威をふるう原因が、直接接触だけだとは考えにくい。感染者とのタオルの共用や、まき散らしたフケの付着が原因であるものが多いという説も納得だ。同病院の皮膚科主任ソン・ウェイミン医師は、「トンズランス菌は、湿度80%以上、かつ、25~28度の気温を好む。梅雨シーズンは、まさに絶好の繁殖条件です」と予防と早期治療に警鐘を鳴らしている。
恐ろしいことに、この繁殖条件は、エアコン28度設定の節電日本の室内が完全にあてはまる!とは言っても、梅雨も開けたことだし…という希望的観測を打ち砕く様に宋医師は「今はまだ流行の序盤です。水虫は梅雨が終わって一ヶ月後に発作するケースが一番多いです。カユいなと思ったら早期の検査をおすすめします」と念を押した。
残念だが予想通り、日本では大丈夫とはいかないらしい。
「現在日本人の水虫感染率は5人に1人といわれ、今も増え続けています。その主因は女性感染者の急増です。昔は革靴といえば男性だったのですが、最近は、ブーツやハイヒールなど女性の方がむしろ履く機会が多い。トンズランスにしても、つい整髪料や化粧品をつけたまま寝てしまったりと、肌や頭皮が不潔になりやすいのは、むしろ女性の方かも知れません」大手製薬会社水虫薬開発担当主任B氏
女性の水虫感染者拡大!足の水虫の経験のある人なら分るかもしれないが、あのカユミが頭や顔、クビに来たとしたら相当耐え難いモノになる事は理解できるだろう。カワイイ女の子が大挙して顔や頭を掻く姿は、見ている男性にとってもつらすぎる光景…。
しかし、本当にキビシいのは、このスーパー水虫は、完治したあとも、感染者に体だけでなく心にもキズを残す事だ。関西系某強豪大学の3回生Cさんは、ため息まじりにカユく切ない体験を語る。
「1回生の夏に感染してから今日まで、完全に周囲からバイキン扱いです(泣)。いくら完治していて『これはケガでできたハゲだ』と言っても、今は、柔道+ハゲ=トンズランス菌という図式で見られてしまいますからね…。何気なく頭を掻いただけなのに周囲の女子がパニックになっていたりします(大泣)。もうゼミの女子達からは完全にスルーされてますよ…ハハッ(遠くを見る目で)。でもボクらはまだ良い方です。女子選手なんて完全にビクビクですよ。強くなりたくて、多くの相手と試合や練習する良い選手程、ある意味感染の危険が高まるわけです。今は感染すると完全に直るまで試合には出場禁止ですからね。せっかく頑張って練習してたのに、試合に出られなくなるは、周囲から病気持ち扱いされるはで、そりゃ誰でも落ち込むでしょう」
確かに足の水虫と違い、一目で感染の有無がわかる頭や顔だと精神的ダメージが大きそう。友達同士で同情していても、感染症である限り完治するまで距離を置くしかないという。これは仲が良い間柄であればあるほど苦しい話だろう。
奇しくも先日中学校で柔道をはじめとする武道必修化がはじまったところだ。10代を中心に、なぜか若い世代が感染しやすいトンズランス菌。温暖化の進行に節電のエアコン28度設定と、大発生を予感させるに十分な条件が驚く程そろっている。もはや、新型スーパー水虫が日本の新しい国民病となる可能性は否定できない!
普通の生活をしていれば大丈夫なんて呑気に構えずに、これからの季節、先ずは日々の洗髪洗顔をしっかりと行って最大限の自衛に務めたい。
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