ついに姿が捉えられたノルウェーの妖精達!その驚きの姿は妖怪を見慣れた日本人にとっても脅威的だ!写真の緑のトロールは“トッサーランド”と呼ばれるもの。
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UPDATE 2012/03/14
ノルウェー・ドブレ
2011年10月、幻の生物「イエティ(雪男)」捜索のための国際会議が、ロシア、米国、中国などの7カ国の研究者が合同で開催。今年に入ってからは、北米の大型類人猿「ビッグフット」の専門の電子版学術誌を、米アイダホ州立大が開設するというニュースを耳にしたのは記憶に新しい。そして、今度はノルウェーからとんでもないドキュメンタリーが届いた。『トロール・ハンター』これは、北欧ノルウェー王国政府が国家機密として隠し続けてきた「トロール」 の存在を、ある男の内部告発により記録する事に成功した衝撃的な映像である。
2008年10月13日。フィルムカメラーテネ社に差出人不明の283分のテープが持ち込まれた。専門家チームが1年以上を費やし内容を調査した結果、映っている全てがホンモノであると判断。同社は、ノルウェー政府の隠蔽工作を告発するため、あえて世界に向けて公開したという。テープを回したのはトマス、ヨハンナ、カッレの三人の学生。 ノルウェー・ヴォルダ大学の学科課題として丁度、地元で問題になっていたクマの密猟事件をネタにドキュメンタリーを制作していた。密猟者は名前をハンスといい、黒尽くめの不穏な男。三人は決定的な証拠をつかもうと、コンタクトを繰り返し、夜な夜な森の中に姿を消すハンスを、カメラを持って尾行すると、そこに突然、信じられない怪物「トロール」が現れたのである!
「トロール」とは、ノルウェーほか、北欧の伝承に登場する妖精の一種。 トロールまたはトロル(troll)ともいい、 本来、『となりのトトロ』やムーミンのモデルとなったカワイイはずのキャラクターなのだが、フィルムに撮影されているのは獰猛な怪物、……”バケもの”以外には表現できないものだ。
最初、かたくなに取材を拒絶し続けていたハンスだが、この三人の体験以降、重い口を開いた。彼は、元特殊部隊の軍人で、ヘッドハンティングで政府機関のトロール保安機関(TSS)に雇われた。
彼は、自分が世界唯一の”トロール・ハンター”であると告白。主な仕事は、テリトリーから抜けだして民家に近づくトロールを抹殺する事で、秘密裏に処理しトロールの存在を民間人から隠し続ける事が任務である。また、常にキケンや恐怖が伴い、生活も保障されず、汚く、深夜・残業手当もない、孤独な仕事の現状に嫌気がさしており、政府のトロールの扱い方にも多分の疑問があるため、今回、遂に証言者としてカメラの前に立ったと言う。
彼と彼の懇意にしている獣医ヒルデによれば、「トロール」の生態は、実際かなり科学的に解明されているという。「トロール」は、二足歩行の哺乳類。獰猛な性質で尻尾がある。大きく「山トロール」と「森トロール」の2種類に分類。「山トロール」はフィンマルク高原、ハルダンゲル高原に、ヨーテンハイメン、ドブレなどに生息。「森トロール」はノルウェーのあらゆる森や洞穴が住処となる。さらに細かくは、リングルフィンチ、トッサーラッド、マウンテンキング、ハーディング、ヨットナールなど様々な種類のトロールがいる。現在、生息しているトロールの総数は不明。 トッサーランドは成長に従って頭の数が増えていく(現在3つまで確認されている)。ただ、目は最初の頭にしかついておらず、その他の頭は実は威嚇などのための突起物らしい。ヨットナールの身体は、巨大で60メートルに達するものもある。概して、どれも知能レベルは極めて低く、肉食で人間を含みなんでも食べてしまう。好物はコンクリートと木炭の組み合わせやタイヤなどである。交尾により種を増やし、一回の出産で1匹のベビー・トロルが生まれる。妊娠期間は10~15年程度。 寿命は推定1000~1200歳という。種族に関わらずトロールは、”キリスト教徒”を嫌っており、その血の匂いを敏感に嗅ぎつけて興奮状態になる。また、ヨーデルを聴くと反応して動かなくなる。何故か衛星写真には姿が写らない。弱点は太陽光である。
現在、トロール保安機関(TSS)が推奨する「トロール」の抹殺方法は、太陽光ビームを当てること。光を浴びた「トロール」の身体は、爆発または石化してしまう。これは、トロールが太陽光に含まれるビタミンDをカルシウムに変える事ができない為、太陽光にあたると体が過剰反応し、内臓が膨らみ、ガスが急激に腸や血管にたまり耐えきれず爆発。また、高年齢のトロールは逆に血管が収縮している為、光を受けると骨が爆発し、一瞬のうちに体中が骨化して石のようになる事によるのだそうだ。ハントした後は分解処理し運び出す。獲ったトロールの身長、幅、鼻の長さ、頭の数、種類、殺したとき石化したのか破裂したのかなどの克明にレポートしトロール保安機関の上官フィン・ハウガンに提出する。
全ては秘密裏に行なわれていたものだが、映画にはその一部始終がつつみ隠さず表現されており、今後、社会問題としても物議をかもしそうな気配である。ちなみに、ノルウェー政府は未だに事実をすべて否定している。
トロールの世界の詳細を知りたい人は、ぜひこの映画をチェックして欲しい。あなたの妖精感が180度変わってしまうことは確実だ
『トロール・ハンター』監督 アンドレ・ウーヴレダルhttp://troll-hunter.jp/
3月24日より公開
浅尾 典彦
ある時は、新聞・雑誌に連載を持つメディアライター。またある時は、企画・イベントもこなすプロデューサー。はたまた、映画、テレビ・ラジオに出演するタレント。 おまけに日本SF作家クラブ会員で、専門学校講師でもある。しかしてその実態は、SF、ホラー、ファンタジー映画が中心、”サブカルチャー専門” の「Fantastic Messenger夢人塔(ムジントウ)」代表。著書も多数。てな感じで、活躍を続けてはや30年。結局、”謎の関西人”のままか~
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