明らかにマナーが異なる中国の温泉…(苦笑)。この勢いで浸食されれば、日本の温泉文化等アッという間に駆逐されてしまいそう。
UPDATE 2011/11/18
中国・上海
家電、時計、自動車、不動産…メイド・イン・ジャパン製品を無限に欲しがる中国セレブが次のターゲットにしているのは日本人の大好きな温泉だった!
先日、中国西南地方の最大都市重慶で、「万人同浴」というイベントが行われた。合計14345人の人々が一斉に市内15カ所の温泉に入浴し、見事に「同時入浴のギネス世界記録」を塗り替えた。参加者たちは温泉を満喫したと同時に、世界記録達成に喜びの声をあげた。
ここで驚きを隠せないのは、1万人以上の中国人が温泉に入ったのに、1人ものぼせなかったということ。従来一般的な中国家庭ではシャワーはあっても湯船は無い。これは水資源が不足する中国では当然のこと。その為多くの中国人は日本式の入浴が苦手。長時間湯につかるとのぼせてしまう人が多い。ところが、これほど大人数の人々が温泉の気持ち良さを知り、入浴習慣が一気に生まれれば、水資源の枯渇は間違いない。
もっとも、そんな不安要素はおかまい無しに、参加した人々からは温泉習慣の定着を思わせるコメントが続出した。
「温泉最高!お肌がつるつる!もっと美人になるためにも温泉に入らなきゃね!」
「冬はやっぱり温泉だね。今度は温泉に入りながら火鍋を食べたいな!」
「世界記録達成に貢献できたし、念願の混浴もできた、もう最高!」
実は中国の温泉文化は古代までさかのぼる。既に1600年前には、重慶で温泉が発見されていた。これは日本の有馬温泉より200年も早かったことになる。しかし砂漠かが進む現在の中国で13億人が入浴できるような量の湯を用意することは不可能。ここでも風呂格差が生まれるかもしれない(苦笑)。
しかし、今回のイベント成功に気を良くした主催者側は、一気に温泉文化の定着を狙って各地で温泉開発に着手するようだ。
「今までは天然温泉だけに頼って新規温泉の開発に力を入れてなかったけど、今回の参加者の反応を見て我々も自信が付いた。これからは温泉を掘って、掘って、掘りまくるつもりだ!」
確かに広い中国なら、どこで温泉が湧いてもおかしくはない。しかし急速な都市化に伴う無秩序な地下水の流用で、既に上海では年間1センチの地盤沈下が起こって深刻な問題となっている。重慶でも同種の問題が進行しつつ在るなかで、さらに温泉採掘ブームとなれば水不足問題の深刻化は必至だ。
この中国の温泉ブームについて、中国人ジャーナリスト戴世煜氏は、「確かに、中国人は湯船でくつろぐ習慣はありません。しかし以前は銭湯がコミュニティスポットとして存在していたわけです。それらが都市の再開発で消え去り、その替わりに『会所(フェイソー)』が新しいレジャースポットとして登場したんでしょうね。これらの施設には、温泉設備はもちろん、美容室、マッサージ、カラオケまで完備している充実ぶり。最近の中国ビジネスシーンでは個室でマッサージ等のサービスを受けながら商売の話をすることが定番になっています。経済成長の波に乗って需要はまだまだ増えるでしょうね」と語っている。
上海でフェイソーを経営する趙氏によると、「実は、上海周辺では温泉資源が確保しきれないから、今後は日本の温泉の源泉を輸入することを計画中です。日本の不採算温泉の買収なんてタダみたいな金額ですし、中国人は日本ブランドが大好きから、たとえ通常の温泉の10倍の値段をつけても、客は入りたがるハズです。日本も昔は熱海の湯を江戸城に献上させていたそうじゃないですか。高速タンカーを使えば、上海までなら数日、品質も全く問題ないでしょう。『届きたてほやほやの熱海温泉』なら話題を呼ぶこと間違い在りません」
とのことだ。
確かに数年前から中国人が日本の水資源を買い漁る動きはあったが、次は温泉とは…(苦笑)。しかし、本気で彼らが日本の温泉を汲み上げ始めたら、アッという間に日本中が干上がってしまうだろう。
中国セレブが日本の温泉を気に入ってくれるのは嬉しいが、日本庶民のささやかな楽しみである温泉が無くなるという事体だけは避けてほしいものだ。
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