まるで免税店街のように華やかに一流ブランドの名前が踊るゾンビ商店街ビル。ビルのグレードを上げる為だというが理解に苦しむ(苦笑)
UPDATE 2011/09/09
中国・南京
先日、WWN中国編集部に、ハンドルネーム「首席叫花子」氏より、南京に存出現したニュービジネスの情報が寄せられた。
話題となっているのは、中国南京市にある文安街という商業ビル。数々の一流ブランドの看板を目指して押し寄せる南京っ子達が、口々に「かっこいい!面白い!まさに山寨(=コピー)ブランドショップのパラダイスだ!」と大騒ぎしている。さてコピーブランドの集まった商業ビルなど、今更中国では珍しくもないはずだが、このビルでは何故か店舗が営業している気配がない。これはどうしたことだろう?
早速取材班は中国南京市にある文安街に向かったが、既に一部の看板は公安当局により撤去作業がはじまっていた。ただ、まだまだ大量に残されている看板から、この新しいコピービジネスの全貌をうかがい知ることができた。ビルの外周中にあふれる見慣れた(ような気がする)高級ブランドショップのコピーロゴ。
「マクドノルド(Mcdonolds)」、「ピザハッフ(Pizza Huh)」、「アディドス(adidos)」、「バックススターコーヒー(Bucksstar Coffee)」のような海外ブランドのコピーを始め、中国の有名ブランドのコピーまで大量に存在している。
そのコピー手法は、本物ブランドのロゴとコピーロゴを見比べてみると、デザインはオリジナルのままで、アルファベット1文字だけを変えたり、ブランド名の前半後半を逆転させただけと、明らかにオリジナルと見間違うことを狙ったもの。これほど堂々と類似商標の看板を上げれば、いくらコピー天国の中国でも営業していても即摘発となるのは間違いないはず。ならば、その真意はどこにあるのか?
首をかしげる取材班は、ある不思議な現象に気付いた。それは、この商業ビルは、看板こそ掲げられているが、営業している店舗は一つもないという、いわゆる「ゾンビ商店街」であるということだ。この大量のコピー看板の設置理由を、物件を管理している不動産会社にこっそり問い合わせたところ、業者側は、現在撤去中と説明しながらも、なぜか満足そうな声(苦笑)。これはどうしてだろうか?
「それは、おそらく入居者募集のための宣伝看板でしょう。テナント募集時に、コピーロゴを使って一流ブランドの入居しているビルと思わせて家賃を吊り上げたり、優良な店子を集めようとしているんでしょうね。実は、3年前の広西省南寧市を手始めに各地で『ゾンビ山寨名店街』が増加し続けているんです。入居テナントが決まると、すぐにコピーロゴを下げて実際の店舗の看板を掲げ変える。今回も同じ手法だと思いますよ」中国ジャーナリスト戴世煜氏
戴氏のコメントを裏付ける様に業者側からの回答は「あのビルは、ただいまテナント募集中で営業していません。看板の設置理由についてはコメントを控えさせていただきます」とのこと。
実際に商売を行っているわけではないということで当局も真剣に摘発を行いにくい。なるほど新しいコピー商法の誕生というわけか(苦笑)。いずれにしても一流ブランドの信用を利用した悪徳商法であることは間違いないが、この何も物を売らない「ゾンビ山寨戦略」は、彼らなりの遵法意識の現れと見るべきか、法の目をくぐった新たなビジネスと見るべきか、意見が分かれるところだろう。
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