家の鍵につけた小さなキーホルダー。いつも持って歩いている道具こそが有事に役に立つ。最小限の道具と最大限の生き残る知識が大切だ。
UPDATE 2011/03/16
日本・神戸
単なる地震ではなく未曾有の大災害に被害が拡張しつつある東北地方太平洋沖地震。その恐ろしさは、地震による揺れ、津波、被爆という3段で襲いかかりつつ在り、被害の全貌は政府ですらいまだ把握できないでいる。
テレビや各種メディアで災害を知った全国各地域に住む人々も、この悲劇に心を痛めない人はいないだろう。そして、同じ国に住む者として、この惨事が明日我が街、我が身に起こりうる災害である事を、あらためて認識したのではないだろうか。
そこでWWNは、神戸やサハリン、上海等、世界各地で起こった地震災害での取材経験で得た、最も手軽で有効なサバイバルキットを皆さんに紹介したい。
ジャングルの中で迷ったならともかく、日本国内で被災した場合、一番大切なのは身軽である事だ。あれも必要、これも大切という大きな防災袋を持ちたい気持ちは十分分かる。しかし、あなた自身の命以上に大切なモノ等、この世に在りはしない。先ずは荷物は最低限にして、生き残る為の知恵を身につけておいて欲しい。
写真で紹介しているのは、WWNが推奨する東京都の小学校でも採用された「世界最小のサバイバルキット」だ。普段使う家の合鍵。そこに数点のアイテムを加えるだけで、最低限生き延びる道具として使える事をお知らせしておきたい。これは日頃日常的に持ち歩けるサバイバルキットなのだ。
■ サバイバルアイテムその1/家の鍵
鍵は金属で出来ている。実は、この鍵こそ身近な道具の代表なのだ。鍵は、使い様で十分刃物になる。そのままでも、足に巻き付いたビニールひもや、引っかかった衣類を切り裂く事が出来るが、道路や壁で少し研ぐだけで小さなナイフとして利用できる。人が動物から人間に変わる時に最初に手にしたのは石器、つまり刃物なのだ。鍵が刃物として使えることを知っているだけで、生存の可能性は大きく変わる。鍵は脱出時等に大きな武器となることを覚えておいて欲しい。
■サバイバルアイテムその2/LEDライト
携帯電話が、いざという時に懐中電灯に代用できる事はご存知だと思う。しかし、貴重な連絡手段として携帯の電池は可能な限り減らしたくない。そんな時、小さなLEDライトは非常に有効だ。これは100円ショップで簡単に手に入る。ボタン電池で駆動する小型軽量なものだが、多くの場合、最初にセットされているのはテスト用と呼ばれる容量の少ない電池。新品と交換した上持っておく様にしたい。明るさや仕様で、実用時間は変化するが連続で数時間は使用が可能。緊急脱出用の灯りとしては十分な力を発揮できる。
■ サバイバルアイテムその3/IDカプセル
実際に大規模地震等で被災した場合、小さなケガは当然、大けがをしても生き残れば幸運といえるのかもしれない。もし自分が意識不明で救助されたとしても、自分の名前や血液型、アレルギーの有無、緊急連絡先等が記されたIDカプセルがあれば、命を救ってもらえるかもしれない。有事に血液型検査等の作業が必要なければ治療が効率的なのはいうまでもない。
■サバイバルアイテムその4/ホイッスル
人が大声を出し続ける事は、想像以上にエネルギーを消耗する。ガレキの下敷きになったり、どこかに閉じ込められたりという可能性は非常に高い。阪神淡路大震災での死因で一番多かったのは圧死なのだ。一早く救助してもらう為には、発見してもらうことが大切。呼吸さえ出来れば使用可能なホイッスルは命を救うアイテムとなる。
■サバイバルアイテムその5/ペットボトルホルダー
水は必須アイテムだが最低限にしたい。500mlのペットボトルでも1日は十分大丈夫。避難所までや、安全な場所に移動するまでの量でガマンしよう。大きすぎる荷物は動きを鈍らせるだけでなく体力を消耗する。そして大切なのは両手をフリーにしておく事。落下物から身を守る時や、転倒時等、両手が自由である事は安全上大切な事項だ。
以上のアイテムは全て100円ショップで購入可能。全てそろえても500円以内だ。身につけている最低限の道具と、最大限の知恵と知識で乗り切る方法をぜひ覚えておきたい。
蛇足ながらお金は1万円札ではなく千円札で10枚。100円玉と10円玉を10枚用意しておきたい。非常時電話回線は公衆電話が優先される。小銭の有る無しは有事の通信手段として大きく差が出る。買い物をするのにも1万円札なら、お釣りをもらうのも相手に面倒をかけることになる。千円単位で渡して釣りをあきらめ、非難を急ぐくらいの気持ちでありたい。
WWNは被災された方々には最大限の援助を惜しまないが、日本に住んでいる限り、地震だけは、明日は我が身に起こりうる災害。世界最高の防波堤を備え、あれほどの備えをしていた宮城県ですら悲劇は防げなかった。自然の猛威は人間の力の及ぶものではないかもしれない。しかし、小さな道具でも生存の可能性を増やす事が出来る事をぜひお知らせしていきたい。
Love&Peace! がんばれ日本!
ズボンのベルトホルダーやリュックに簡単に取り付け可能なペットボトルホルダー。ボトルのキャップ部分を引っ掛ける構造になっている。