もう何が何だかわからない「コレジャナイ ガンダム」。カッコいいんだか悪いんだか…。トゲトゲの廃品利用ボディが哀愁をさそう。
UPDATE 2011/02/01
四川省・成都市
「欲しかったのはこれじゃなーい!!」のコピーで大人気となった、有限会社ザリガニワークスの雑貨レーベル「太郎商店」の誇る「コレジャナイロボ」。その圧倒的なコンセプトで、見る者、手に取る者に無限大の脱力感を与えてくれるスマッシュヒットだった。
クリスマスや誕生日のプレゼントを開けた子供の顔が、一瞬にして期待満面の笑顔から悲痛な叫びへと変わる…。そんな確信犯的な遊び心が評価されてか、「コレジャナイロボ」は、知らない間に2008年のグッドデザイン賞受賞作品にまでなっている。まさに国認定、筋金入りの「コレジャナイぶり」である。
少なくとも、この分野では世界一(笑)と思っていたが、その座も安泰とはいかなくなってきたようだ。
写真にあるこの見事な「コレジャナイ」ロボットは、四川省成都市の「国色天香」という遊園地に立てられている。中国の人々にすら「山寨(コピー)ガンダム」と呼ばれているこの巨大ロボットは、高さ15メートル。しかも、中には一般観客でも登れるように設計されています。(この際、それが安全かどうかは触れずにおきます)しかし、このコレジャナイの香り一杯のロボット、どこかで見た覚えがあるような…。
高さ18メートル。純白に輝くガンダム像がお台場に登場したことが話題になった昨年、この成都の地に、鈍く曇ったオレンジ色のボディの山寨(偽物)ガンダムが立っていた事を、皆さんは覚えていないだろうか?
ネットニュースを通じて、日本メディアでアッと言う間に話題となり、完成から数日で跡形も無く撤去されたのだが、やはりそれを素直に廃棄する中国人ではなかったようだ(苦笑)。
中国のサブカルチャーに詳しい中国人ジャーナリストの戴世煜氏は「昨年のオレンジ色の山寨(偽物)ガンダムは、同じ中国人の間でも、「賛成派」と「反対派」に評価が分かれました。賛成派の意見の意見は『身近にガンダムを見れで幸せだ!』『登ってきたぜ!阿母羅(アムロ)になった気分だ!』『小日本(日本め)の浅草寺もただの中国お寺のパクリのくせに、山寨ガンダムに文句言うなら浅草寺をぶち壊してやる!』『知識産権(著作権)は資本主義先進国が勝手に作ったローカルルールだ。中国五千年文明を誇る我が中華民族がそんな不平等条約に負けてたまるか!』という過激な意見が多く、反対派の意見では『ガンダムはやはり白色でしょう(苦笑)、見てるだけで目がチカチカする』『あの色はガンダムじゃない!オプティマス・ プライムだ!(トランスフォーマーのコンボイ)』『中国人はすでに創新意欲を失っている。コピーばかりしてるから、いつまで経っても他の国の一歩前には行けないのだ』という建設的な意見が多かったですね。意見の数的には半々程度で拮抗していたんですが、世界的な非難を恐れて、早々に撤去してしまったんです」とのこと。
しかしこの「国色天香」という遊園地は、中国国内でも山寨テーマパークとして有名な場所。オレンジ色のガンダムの撤去後も、このまま終わるわけが無い(苦笑)、と中国国内のファンは、次の一手を心待ちにしていたという。
「確かに、この遊園地は、開園当初から『コピーのテーマパーク』として有名です(苦笑)。前回の「山寨ガンダム」以外でも、ウルトラマン、小便小僧、人魚姫、ディズニーキャラを始め、アトラクションやパレードもほとんど世界各地の遊園地を真似して作っています。北京の石景山遊園地と並ぶ、コピー遊園地の双璧ですからね。『ディズニーは遠すぎる!近くて安い石景山遊園地へ!』のスローガンは、今も国内各遊園地の模範とされています。ただ両園とも国家認定の四つ星遊園地ですから、地方の遊園地がコピーしようと思っても、追いつくのは大変でしょうね」前出戴氏
「IT IS NOT THIS!」コレジャナイという日本のザリガニワークスが切り開いたニッチなフィールドを邁進し始めた中国コピー遊園地。これらが広く世界から脱力マニアを集めるのは間違いない。コピーからコレジャナイという独自の進化ぶりは見事としか言いようが無い。下記写真で、その変貌ぶりを楽しんで欲しい。
しかし、中国の子供達からは、どちらを見ても「これじゃない!」という悲痛な声があがるのは間違いないだろう。しかし、ここまで苦労するなら、あっさりオリジナルのロボットを作ればいいと思うんだが…。
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