2011年太陽はついに破壊的な極大活動周期に入るかもしれない。それが噂に聞くソーラーマックスだ!
UPDATE 2011/01/20
フロリダ州・ケープカナベラル
2011年は太陽系の宇宙気象にとって重要な年となるだろう。太陽の活動は停滞期を終え、エネルギーに満ちあふれた激動期へと突入するはずだ。
現在太陽は巨大なエネルギーを放出する“ソーラーマックス”という極大周期へ向かってエネルギーを蓄え続けている。もし実際にソーラーマックスに突入すれば、軌道上の人工衛星は、太陽の巻き起こす強烈な磁気嵐で全て燃え尽きてしまう。結果世界中の通信、放送網は壊滅。人々の連絡手段は第二次世界大戦以前の状態に戻ってしまうだろう。他にも地球上の人間の生活全てが影響を受けずにはいられないハズだという。
この話を聞いて驚く人がいるかもしれない。しかし、太陽は従順なガスコンロの様に一定の割合で燃焼するのではなく、静穏と大嵐を繰り返しながら燃焼しているのだ。世界中の天文学者による、2世紀にわたる黒点観測から、太陽の活動が、ほぼ11年周期で変動することがわかっているのだという。
この周期の何度かの変わり目の最後に、ソーラーマックスがやってくるという。2011年のソーラーマックスは、史上もっとも強力なものになりそうだという。今回のソーラーマックスの激しさを、花火大会のフィナーレを飾る特大の2尺玉だとすれば、これまで史上最悪とされた1958年のソーラーマックスなど線香花火レベルだという。
それというのも、今回の太陽の活動停滞周期は1996年から始まっている。年数から考えても、通常の周期の5割増のエネルギーを蓄えていることになる。世界各国の宇宙物理学者たちは、2011年が太陽のエネルギーの極大期になることを恐れている。
マヤの暦は人類絶滅の年を2012年だと予言している。しかし、ソーラーマックスが予測どおりに極大のもので今年訪れるとすれば、来年を待たずに世界は終わりとなるだろう。
NASA宇宙気象予報センターのジョン・コミトーは「最新の予報では、2011年の半ばが太陽周期の極大に当たると思われる」と語っている。
ところで、ソーラーマックスでは、通信、放送以外に、どんな障害が起こるのだろうか?一般的に知られているのは電磁放射、つまり強烈な磁気嵐だが、コロナ質量放出(CME)により帯電物質が、津波のように噴出して地球にまで押し寄せてくることが一番問題となるだろう。
実は、このCMEの影響を、私たちは映像では見たことがあるかもしれない。それは一般にオーロラと呼ばれているものだ。CMEが地球に到達すると、地球を保護する磁場が圧縮されて、高緯度ではそのエネルギーが微光となって見える。これがオーロラの正体だ。
だが、もちろんCMEの影響は美しいオーロラだけではない。強力な電波障害や磁気あらしを引き起こすのはもちろん、コンピューターや電子機器が麻痺したり破壊されることも起こりかねない。
通信、放送に加えて、全ての電子機器やパソコンが破壊されたら、現代人は一気に原始時代に逆戻り!特にネット異存の強い人々等は、精神的にも耐えらず病気になってしまうかもしれない。
それだけではない。CMEほど恐れられてはいないが、太陽フレア爆発もやはり大問題だ。太陽面で起こる、超荷電状態のプロトン(陽子)の爆発は、数秒後には地球に到達する。この爆発は、わずかに生き残った、高度3万6000キロの静止軌道上にある通信衛星、高度1万9000キロの軌道を回る、衛星利用測位システム(GPS)衛星を完全に破壊するだろう。これでは飛行機も船も航行不能。世界中の人々が、目も耳も足も、完全に奪われる事になる。
これらはあながち大げさな予想ばかりではない。実際2010年4月、大手衛星通信会社のインテルサットは、自社の衛星ギャラクシー15をCMEが原因で失っている。
フランスのタレス社の技師ジャン=ポール・リゴーは「インテルサットの件を考えても、ソーラーマックスが起これば、大気圏外にある衛星の9割近くは大破する」と断言する。
ここで更に残念な予想もつけ加えなければならない。ソーラーマックスは、放送や通信網ばかりか、石油や天然ガスのパイプラインにも被害を与えかねないことだ。
例えばアメリカだけでも、主要な発電所350基の変圧器は焼け焦げ、1億3000万人強が電気なしの生活を強いられると予想されている。この停電のおかげで、アメリカ経済は1年目だけで1兆から2兆ドルの被害が出る。しかも、多くの製造工場がストップしていることもあり、完全な復旧までには10年から20年の時間がかかるといわれている。
何とか、そんな悲劇的な事態は避けたいと、世界中の科学者達が太陽を監視し続けている。しかし誰もがこのソーラーマックスの発生時期を完全に予測できないでいる。
「太陽については、わからないことだらけなんだ。実は減衰期とされる時期でも、太陽の表面には強力な電磁場がある。それが一度に凝集して一気に活性化することもある。周期性に関係なく、不意に大爆発を始めることもある。正直予想は難しい。何しろ、相手は変光星なんだから…。それでも観測を続けるしか無いんだ。地球上の生物にとっちゃ危険きわまりない恒星だからね」とリゴーは予測の難しさについて語る。
地球上の全ての生物の命の源である太陽。だが、この母なる巨大な恒星の、ほんのちょっとしたクシャミ一つでも全ての生物は死滅しかねない。できればこのまま機嫌を損ねることなく優しく輝いていて欲しいものだ。
偕成社
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