華々しいスタークマの活躍を見て、自分も都会で仕事を探し一旗揚げたいと安易に考えるクマが後を絶たない。
UPDATE 2010/11/5
千葉県・浦安市
この夏の猛暑の影響で各地の山でドングリの不作が続き、仕事にあぶれた若いクマたちが、千葉県の東京ネズミーランド(以下、TNL)のある浦安市職安に押しかける騒ぎとなった。クマたちは口々に「青森で一番人気のツキノワグマじゃ、プーさんにはなれないのか!」「踊りには自信がある。カントリー・ベア・ジャンボリーに出演させてくれ」「恥ずかしいけど、この際、体毛を黄色に染めて赤いTシャツを着てもかまわない」などと吠え立てた。
こうしたクマの訴えにTNLを運営する偉い人は「今年のオーディションは既に終了している。来年の公募に募集するなら、せめて爪と牙との手入れをして、言葉使いから勉強した方が良い。色の黒いのはハンディにならない。ウチのネズミも真っ黒だけど人気者になった。ツメが汚ければ白い手袋でもはめれば良い」とオーディション合格のポイントを教えてくれた。
「ただし、うちのクマたちはみな、中には人が入っていないことになっているクマ。そうでなければ機械制御の作りモノ。モノホンのクマが来てもクマっちゃう」と話し、同園では、採用の意思がまったくないこととハイレベルなギャグセンスを明らかにした。
こうしたクマの就職支援をしている「リクルート・ベア・ジャパン」のCEOウィリー・ウィリアムスJrは、厳しいクマの就職事情についてこう苦言を呈する。「クマの方も就職氷河期ということをもっと意識した活動をしないとダメ。例えば、全身を白く塗り替えて『白クマ採用枠』を狙うとか、自分の頭で考えて行動する姿勢を見せないとどこも雇ってはくれないでしょう。昨今は草食系のクマも多いのだから、そこを弱点にするのではなく草食系からさらに一歩進んで、熊笹を食べられるように努力して、『パンダ採用枠』で内定を獲得して成長著しい中国で働くという手もある。もう一度、自分がやってきたことを見つめ直し、何ができるのかを明確にすべきベアないでしょうか」と安易な発想で都会を目指す若いクマの行動に釘を刺した。
秋田県から就職のために上京してきたというクマ(2歳)は、肩をガックリと落とし「東京に来ればなんでもできると思っていた。ビジュアルには自信が在ったんで、テレビや読者モデル系の仕事とか、田舎でメスグマに自慢できるかなって…。でも、仕事はあっても力仕事ばかりで、自分の描いていた夢とは違うし、食べ物もおいしくない。そろそろ秋田に帰ろうと思います。帰ってマタギと今後について話したい」と話していた。
こうしたクマの急激なメディア指向の増加についてWWNの主任研究員Dr.TAXIは「ジョン・ウエストのテレビCMでも見たんでしょうが、いくらでもクマの仕事が在ると思ったら間違いだ。ショービスの道を目指すなら、まず地元のケーブルテレビのレポーターとかでで経験を積んで、スキルアップしてからでないとメジャーで活躍するクマ達と勝負にならない。スターになれるのは千頭に1頭なんだから」と若グマのメディア指向を批判した。
一方、このような安易な日本グマの行動につけ込み、各地の職安前で「良い左手してるねぇ、景気の良い中国で一旗揚げないか」とか「日本グマのオスは肝が座ってるから、中国メスグマにモテモテだよ」等の手配師の甘い言葉に誘われるまま中国に渡り、漢方薬局等に売られるオスグマが後を絶たない。若クマ達よ、都会に甘い話は、そう落ちていない事を今一度肝に銘じておく事だ。
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星野はそこにいるのでしょう。
言葉は大人に、物語は子どもに。
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