どうせ売るなら、少しでも高イ方が良い。イザという時に備えて準備が大切だ。なおこの契約はクーリングオフが効かないそうなので慎重に。
UPDATE 2010/10/22
ニューヨーク州・ニューヨーク市
貧困に不況に地球温暖化…、今の時代、まともに一所懸命働いたところで、生活がなかなか楽になるものじゃない。正直にコツコツ頑張っている人間が皆幸せになれるなら、宗教なんて存在しなかっただろう。だったら楽に生きる方法を選ぼうじゃないか!
権力に富、そして魅力的な恋人…、あなたが夢見たものがすべて手に入れられる方法が在る。そう、悪魔に魂を売るのだ!でも、何だか怖いって?安心して欲しい。私たちはついに、確実に安全に悪魔に魂を売る方法を発見したのだ!
悪魔研究で知られるレックス・トース博士によると、悪魔と契約する場合、まず大切なのは、「騙されていないかどうかを見極めること」。詳細は、博士の著書『邪悪な契約をどう結ぶか』にも記されている。
博士は「悪魔に魂を売る事は、別に変わった事じゃない。ごく普通の商行為だ」という。人間が現世で得る各種利益と引き換えに、地獄に魂を売ることに同意させていた16世紀の時代のケースを例に説明する。
「人類の歴史は悪魔との契約の歴史といえるでしょう。例えば、ゲーテの戯曲の題材にも取り上げられた、ドイツの錬金術師、ファウスト博士は成功した契約例です」と博士は語る。しかし、「ほとんどの契約が人間にとって不利なモノとなっている」と、無知ゆえの不用意な契約に警鐘をならしている。
そこでトース博士に「もし悪魔と契約をする場合、損しないための方法」を教えてもらった。
1 悪魔を呼び出す
悪魔と取引を行うには、先ず悪魔を呼び出さねばならない。方法は簡単だが、少々根気が必要かもしれない。誰もいない自分の部屋で、目を閉じて言う。
「サタン、私はお前を呼び出す。もしも私の魂をお前が望むなら、ここに現れよ」。
この問いかけは、何十回も、何百回もかかるかもしれないが、根気よく続ければ、彼は次第に姿を現すはずだ。
呼び出した初日に現れなくともガッカリしてはいけない。何しろ悪魔に魂を売りたい人間は山ほどいるのだから。
*ここで注意したいのは、呼び出す声が、落ち込んでいたり、すさんでいるように聞こえないようにすることだ。悪魔は健康で新鮮な魂を欲しがっている。高く売りつけるためには元気さが必要なのだ。
2 力関係をはっきりさせる
多くの人間が忘れがちなのは、契約を結ぶまでは人間の方が有利だということ。悪魔にとって、人間の魂は貴重な黄金のようなものなのだ。彼はそれを手に入れるためならなんでもする。
だから、悪魔が現れたときは、彼の出す最初の条件で契約してはいけない。最低2度の条件つり上げは必要だ。
3 現世で究極のモノを手に入れろ
悪魔と契約を結ぶと、あなたは死後地獄で永遠に焼かれ続けることを忘れないように。つまり、その苦しみを考えると、あなたが悪魔に何を要求しても、要求しすぎになることはない。遠慮してはいけないのだ。
例えば、あなたが今まで彼女もできなくて、愛に飢えていたとしても、正直にそう伝えるのではなく「私は地球で最も美しい女性がほしい。しかも熱狂的に私のことを愛してくれるような」くらいの要求は当然だ。
さらに、「私の気分にあわせて好きなように選べるように、同じように美しい女性を100人用意しろ」くらいは加えておいた方が良いかもしれない。
4 命を延ばす要求をしておくこと
せっかく手に入れた最上級の幸せも、アッと言う間に終わりが訪れる。苦しい1年は3年にも感じるが、楽しい10年は1ヶ月程にしか感じないものなのだ。
ここで重要な秘密を教えておこう。実は、悪魔は人間の寿命を300年延ばす事ができる。あなたが望めば、地獄に落とされるのは本来の寿命+300年後だ。それまで若さを保って精一杯人生を楽しんだらどうだろう。ただし、あなたが自分で望まない限り、悪魔は自分から寿命を延ばせるとは言わない。300歳まで生きられるのなら、人生を何度でもやりなおせる。
さて、どうだろう?早速今夜悪魔を呼び出したくなっただろうか(笑)。現在世界中の宗教団体は、トース博士の本を発売禁止にしようとしている。「この腐った本は人の魂を破壊する」と北アメリカの宗教者協会は語る。
しかしトース博士は、「私たちには知る権利がある。自分の魂は、自分の自由に使う権利が在る」と主張している。
いずれにしても、この閉塞感あふれる時代は当分続きそうだ。となると、無事悪魔を呼び出せたとしても、順番はずいぶん後になりそうだ。覚悟を決めるなら早くした方が良い。ただし契約は慎重に…成功を祈る。
悪魔の事典 フレッド ゲティングズ Fred Gettings 青土社 1992-06 |